「男が分からなくなるとき」(高橋三千綱)#32

 

連載「恋を結ぶ往復書簡―男と女の恋し方―(https://www.gemate.co.jp/blog/correspondence/)」では、芥川賞作家である高橋三千綱先生と、インテリア・アクセサリーデザイナーであるレイネン英子氏よる、恋愛や男女の違いをテーマとした往復書簡を掲載中。今回は、高橋先生が綴ります。

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 男女の感情のズレについては、段階がある。

 1.まず、男女に肉体関係がない場合。

 2.関係はあったが、男がそれきり連絡してこなくなった場合。

 3.どうして連絡してくれないのか、女の方では全く見当がつかない場合。

 4.そして、何かいけないことをしたのかしら、と反省をしてしまう。

 これらはみんな男にとってはセックスが関係してくる。

 さすがのレイネンにも分からないだろうから、ここはまずレッスン1といこう。

 その前になぜレイネンに分からないかというと、男を好きになったら悩むことなくセックスしてしまうからだ。どうしてあんたにそれが分かるのよ、と文句も出るだろうが、それが古典的な女のパターンだからなんだ。

 だが、自分がそう思ってみても、男がその気になってくれなければ何も発展しない。

 レイネンの場合は、相手がその気になってくれる機会をもてたいい女ということになるんだ。だから、自慢していい。

 そこでレッスン1。男女間に感情のズレができてしまう場合について書くと、これが実に簡単で、

 男が「やりたい」と熱望しているのに、相手が性的に未熟な女の子の場合は、腰が引けてしまって、男を違う生物のように思えてしまうことから生じるズレなんだな。

 これは女の子が、男の気持ちを理解できずに誤解したまま離れていくというのとは、ちょっと違う。

 いや、大分違う。

 処女の子がセックスを経験する過程は、無理矢理されたり、集団でレイプされたりした不幸な事故を除けば、それほど大差があるわけではない。

 ある日、付き合っていた彼氏の家で求められてしてしまった、というのが平凡で、やや男の方が強引であったにしろ、その経験を済ますと、永遠の処女から永遠の非処女になることになる。それが普通の過程だ。

 すると、男は彼女を自分の女だと思うようになる。

 この思いに違いがある。

 男が、この女を大事にしたい、惚れているんだ、一生ともに生きたい、という気持になった場合、ときどきの障害があるにしろ、いづれ解決していくものだ。

高橋三千綱

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